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地方創生イベントレポート「JOIN 移住・交流&地域おこしフェア」 Vol. 1

2017/01/27

JOINこと一般社団法人 移住・交流推進機構が総務省とともに主催する「JOIN 移住・交流&地域おこしフェア」は、地方への移住・交流に関するリアルな情報収集と地域との出会いの場。「人に来てほしい地方」と「地方に行きたい人」が一堂に会してマッチングできるイベントで、2017年度は1月15日(日)に東京ビックサイトで開催され、出展団体数464団体、来場者数は8,372人(主催者発表)でした。そこではどんな人たちが、どんな情報を持ち寄っているのか? Locomedianの有賀と島田が、実際に現場で話を聞いてきました!

主催のJOINがその名前に込めた3つのテーマとは

そもそもJOINとは、「都市から地方への移住」や「都市と農山漁村地域の交流」の推進を目的とした組織。平成19年に任意団体、平成26年に一般社団法人となった、比較的新しい団体と言えます。

JOINには「連携する」「つなぐ」「参加する」3つの意味が込められているとか。具体的には、自治体と現地の企業が“連携”して地方に新たな雇用やビジネスを生み出し、移住希望者を”つなぐ”。その運動に多くの人に“参加”してもらう。それがJOINこと移住・交流推進機構のミッションです。「移住・交流&地域おこしフェア」はその一環です。

移住のことを「Uターン」や「Iターン」と表現することが定着してきました。Uターンとは地方から都会に出た人が、再び同じ地方に戻ること。Iターンはもともと都会に生まれ育った人が、それまで縁のなかった地方に移ることを指します。移住のスタイルも多様化しているんですね。

都会から地方への移住が、シニア層のセカンドライフというイメージはもう昔。最近は若い子育て世代の移住も増えています。そのきっかけが、2009年のリーマンショックや2011年の東日本大震災と言われています。どちらも社会に大きな影響を与えた出来事で、都会に依存した暮らしに疑問を感じて人生観を見つめ直した人が、地方で暮らすことを検討し始めたんだとか。

「JOIN 移住・交流&地域おこしフェア」には北海道から沖縄まで、全国から集まった出展者のブースがずらっと並んでいました。その中からいくつか実際に話を聞いてみると、どの地方からそれぞれ異なる課題・アピール方法を聞くことができました!

地方創世の成功例を北海道の中心で発見「北海道・東川町」

北から順番に見ていきましょう。まずは北海道・東川町。

東川町は北海道のほぼ中央に位置し、旭川市に隣接している町。大雪山系旭岳が生み出す豊富な地下水に恵まれ、旭川空港までの交通アクセスも車で約10分と良好。移住者が後を絶たず毎年人口が増加していることから、地方創世の成功例と言えます。その要因は北海道というブランドだけでなく、町としてのブランディングおよび移住者の受入体制が整っていることが挙げられるようです。

「東川町は33年前から『写真の町』としてブランディングに取り組んでおり、文化的に高い水準にあると言えます。また議会レベルから街作りに尽力しており、行政特有の縦割りを解消する努力をしているんです。相談を受けた窓口が自分の担当でなければ、担当者につないで情報を共有する。そうした横の連携を取って、素早い行政を実現しています」

その姿勢は東川町民にも当てはまり、新しく引っ越してきた人に地元の人は積極的に声を掛けることで、地域の一員として受け入れる姿勢が身についているそうです。

さらに東川町は、町おこし・町作りの軌跡を1冊にまとめた書籍「東川スタイル」を発行するなどして、さらなる情報発信を行っています。

北海道に移住する前に「試住」してみる「ちょっと暮らし」とは

北海道エリアでユニークなブースを見つけました。それは「NPO法人 住んでみたい北海道推進会議」。どんな団体でどんな取り組みをしているのでしょうか?

「ご存じの通り、北海道の冬は雪深く、地域によってはマイナス20℃以下まで下がることもあります。そのため、雪や極寒に慣れない人がいきなり移住するのはちょっとリスクが高い。そこで私たちは、一戸建て、アパート、コテージなど現地の住宅に短期間滞在し、そこでの生活を体験できる『ちょっと暮らし』という取り組みを提供しています」

今までの体験人数は2100人以上にのぼり、リピーターも多いそう。この取り組みを使ってあらかじめ北海道の冬を体験しておけば、冬の厳しさに打ちのめされて移住を後悔する、なんてことはなさそう。「都会に生活の拠点を残しておいて、年の半分は都会、半分は北海道」という、半移住の人もいるとか!

わが町を知ってもらうことが当面の課題「福島県県南地方ラクラスしらかわ」

都会からほどよく近い田舎は、移住先として人気があると言われています。そこで、福島県南部の白河市を中心とした地域一帯「白川郡」にも話を聞いてみました!

「東京駅から白川駅まで東北新幹線で1時間17分という距離なので、白川郡は東京近郊の人が移住しやすい地域と言えます。白川郡がゴルフ場が多いのが特長で、ゴルフ好きのリタイア世代に人気ですね。反対に若い世代は農業やアウトドア好きの人が多いです」

そうした移住者をフォローする行政サポートを用意しているものの、「白川郡の知名度がまだまだ低く、まず知ってもらうことが当面の課題ですね」と担当者は語ります。「移住・交流&地域おこしフェア」への出展などをはじめとした、移住者への地域アピールは白川郡に限らず多くの地方の課題といえます。

地元をうまく表現したユニークな見せ方が目を引いた「和歌山県橋本市」

テーブルが並ぶ会場で、とある一角だけなんと「コタツ」が並んでいました。そこは和歌山県のエリア。和歌山→ミカンが名産→ミカンといえばコタツ、ということだそう。たくさんの出展者が並ぶ中、こうした思わず目を止めてしまう仕掛けは、メディアの種類を問わず大切なポイントです。

橋本市で暮らすことを、市の名前をもじって「はしっこ暮らし」と名付けているそう。また橋本市は和歌山県の北端、大阪府に隣接しているので「和歌山の端っこ」という意味も含まれている、というわけですね。

「橋本市は世界遺産として有名な高野山のふもとに広がる街です。大阪に隣接しており、なんばまで電車(南海鉄道)で約40分という好アクセスなので、大阪のベッドタウンとして発展しています。橋本に移住してくるのは、地元出身者がUターンしてくるか、大阪に転勤になった人が多いですね」

橋本はベッドタウンらしく、都会的な雰囲気と田舎の風情が同居した街だとか。

「大阪という都会が近いので、『あんまり田舎過ぎるのはちょっと……』という人に橋本はオススメですね。新築住宅の取得補助金50万円があったり、子どもの医療費が中学卒業まで無料だったりと、暮らしを応援する制度も整っています」

橋本市はJOINのようなイベントに出展するのは、実は今回が初めて。今後も和歌山=みかん=こたつといったユニークなアプローチで、街おこしに取り組んで欲しいですね。

「実は橋本の名産は、みかんではなく柿なんですけどね(笑)」

生活の至上命題である仕事を町の特長と絡めてアピール「富山県・上市町」

どこに移住するにしても、仕事がなければ生活は成り立ちません。ITを使った在宅ワークが普及しつつありますが、それが難しい仕事もあります。また、せっかく移住したのに仕事で地域と関わらなかったら、その街に溶け込むまで時間が掛かってしまうでしょう。

富山県・上市町は、地域で働くことを強く推進している取り組みが特徴でした。「はたらく企業コネクション」、「はたらくらすコネクション」など雇用に関する情報をまとめた冊子を発行しており、上市にある企業や仕事が詳しく分かるようにしています。

「上市町にはかゆみ止めの『ムヒ』で有名な池田模範堂さん、医薬品原料製造販売の富士化学工業さんなどが本社を置いています。こうしたことはあまり知られていないので、町の特長としてみなさんにどんどんお知らせしていって、上市に興味を持っていただければと」

そんな上市町は富山県の東部、剱岳のふもとに位置する豪雪地帯。町単独では移住者の呼び込みに限界があるので、県と連携して取り組んでいるそうです。

「有楽町にある富山アンテナショップと連携して、上市町の雇用を斡旋しています。また、夫婦で合計75歳以下の世帯を対象に住宅購入・賃貸の助成金を支給するなど、若い世代の取り込みをはかっています」

北陸新幹線の開通によって、富山は注目を集めました。今大切なのは、その勢いが途切れないよう二の矢・三の矢を放つこと。JOINへの出展もそのひとつと言えます。

緊喫の課題は保育士の不足 イベントを利用して募集をかける「沖縄県・石垣市」

沖縄県石垣市は日本最南端・最西端の自治体で、沖縄本島よりもむしろ台湾の方が近いくらい。石垣市を訪れる観光客は年間なんと120万人にものぼり、ダイビングやスキューバなどマリンレジャースポットとして有名です。そんな人気の観光地に移住するのは、どういうことなのでしょうか?

「石垣市は、石垣島南部の市街地に人口のほとんどが集中しており、市の機能も集約されています。今で言うところのコンパクトシティですね。気候はもちろん温暖で、冬でも気温25°ほど。今年の正月はクーラーを入れたくらいです」

まさに楽園といった風情ですね。石垣市に観光でやってきた人が、そのまま住み着いてしまうことも少なくないそう。

「でも、やっぱり準備不足で失敗するケースも多々あります。観光業が盛んな地域なので、移住については我々もまだまだ準備段階、というのが正直なところですね。石垣市は人口が増加しており、出生率も2を超えています。そのため、保育士不足が直近の課題なんです。このイベントでも保育士募集のポスターを出させてもらっています」

人気の観光地には、勢いで移住して失敗するケースがあるなど、その土地なりの課題があることが分かりました。

Locomedian View

他の地域の手法を参考にして差別化のアイデアを探す場

JOINには、今回お話を伺った地域意外にも、全国から多数の自治体が出店していました。どの地域も、移住についてのWebサイトやパンフレットを手広く用意しています。そこからの情報収集は手軽ではありますが、やはり現地の担当者に直接話を聞けるこうしたイベントの収穫にはかないません。

多くの地域が課題としていたのは「知名度の向上」。どの担当者も、アピールポイントがあっても知られていないことに頭を悩ませています。また、たくさんの自治体が一堂に集まり、比較検討できるJOINのようなイベントで、「豊かな自然」「歴史と伝統」「おいしい特産品」など、一見同じように見えてしまう地方のアピールポイントを、どう差別化するとともに、わかりやすく伝えるか。移住希望者とのマッチングがメインではありますが、JOINは「他との差別化」を検討するのにも利用できるイベントではないでしょうか。

この記事の著者

島田 喜樹(しまだ よしき)

Locomedian 編集・ライター/株式会社shiftkey プランナー・ディレクター/DJIスペシャリスト

埼玉県富士見市出身。高校まで地元だったけど勢いで札幌の大学に進学し、卒業後は埼玉にUターン。そのせいか会社の人からは盆や正月のたびに「札幌に帰るの?」と聞かれ、「地元は埼玉です」と訂正すること数えきれず。Shiftkeyのドローン担当。


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