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24時間営業のコンビニで消費者と埼玉県の出会いを増やす ローソン×埼玉県のシナジー効果

2017/06/15

埼玉県はコンビニエンスストア内にアンテナショップを置くという、ユニークな販売方式を採っています。銀座・有楽町エリアでは「ナチュラルローソン東京日本橋一丁目店」で、埼玉県の名産品を買うことができます。なぜコンビニを通して販売するのか? その狙いと効果について、埼玉県の担当者に訊きました!

ローソンの「地産外消」と埼玉県の「都内販路拡大」の狙いが一致。日本橋と新宿の2大繁華街で埼玉をPR

今回お話をうかがったのは、一般社団法人・埼玉県物産観光協会の桑原真一さんと、埼玉県産業労働部観光課の持田泰人さんに田丸健さん。なぜ、アンテナショップ運営をローソンと協力しているのでしょうか?

ナチュラルローソン東京日本橋一丁目店。
ナチュラルローソンの看板に「彩の国 埼玉物産販売店」の文字が並ぶ。

桑原さん「埼玉県と株式会社ローソンは、平成20年6月に包括連携協定を締結し、『観光情報・振興に関すること』について検討を重ねてきました。それを通して、ローソンさんは『地産外消(地方の産品を東京などで販売展開する)』を推進したい、埼玉県は『県産品の都内の販路拡大と観光情報のPR』を強化したいと思惑が一致しまして、ローソンさんの店内にアンテナショップを設置することになったんですね」

持田さん「ローソンさんの店舗の中でもナチュラルローソンに置かせていただいている理由のひとつは、ナチュラルローソンの商品コンセプトに『安心・安全』があり、そこに物産品を置いていただければ、埼玉県のイメージアップにもつながるのでは、という狙いがあります」

田丸さん「また東京日本橋一丁目店は東京駅が最寄りで、ビジネスパーソンがメインの客層です。実はナチュラルローソン新宿駅西店にも同様にアンテナショップを置かせていただいているのですが、こちらはビジネスから観光まで老若男女幅広い層がやってくる街です。この2つの客層に、埼玉の物産がどう受け入れられるのか。そのマーケティングも兼ねている側面もありますね」

コンビニ提携で24時間営業&低コスト! デメリットは陳列スペースが狭いくらい?

コンビニに置かれた物産品が、どんな売れ方を見せているのか。それはoutsideでローソン側に訊くとして、ナチュラルローソンで販売することで、埼玉アンテナショップは他地域のショップに比べて、どんな独自性を得ているのでしょうか?

店内の一角を占める埼玉アンテナショップの陳列棚。県のマスコットキャラクター「コバトン」がお出迎え。

桑原さん「コンビニは食事や日用品を買いに、アンテナショップ目当てではないお客様もいらっしゃいます。そんな方々に埼玉県の物産品をアピールできることは、大きなメリットですね」

持田さん「あと、通常のアンテナショップではできない24時間営業というのもありますね。また自分たちでテナントを借りて、スタッフを配置して……というコストもかからないので、通常のアンテナショップの営業形態に比べて低コストで運営できているとも思います」

田丸さん「強いてデメリットを挙げるなら、陳列スペースが狭いことくらいでしょうか」

コンビニと観光館で異なる商品の動き方 「十万石まんじゅう」はコンビニでよく売れる

陳列スペースが狭いということは、置く商品を厳選する必要があります。ナチュラルローソンに卸す物産品は、どんな基準で決めているのでしょうか?

桑原さん「物産観光協会が年間販売計画に基づいて、四季に対応した商品、また県及び県内市町村のイベント等に応じた商品を選定しています。また、ネット販売や埼玉物産観光館『そぴあ』の売れ筋も盛り込みながら展開していますね」

埼玉物産観光館「そぴあ」は大宮ソニックシティビル内で営業中。

ナチュラルローソン東京日本橋一丁目店では、日本橋というビジネス街らしく、平日はオフィスワーカーがおやつを買いに、休日は観光客が物産品の中でも人気の高い「十万石まんじゅう」や「しゃくしな漬」を買っていくそう。

埼玉県民なら誰もが知っている「うまい、うますぎる」十万石まんじゅう。
しゃくしな漬は秩父の名産品「しゃくし菜」の漬物。白菜に似たシャキシャキした食感が特徴。

桑原さん「それは日本橋というロケーションが大きな要因だと思いますね。十万石まんじゅうは賞味期限が短いので、商品の回転が速いコンビニの方が相性がいいのではないでしょうか。『そぴあ』の方ではまた違った商品が売れ筋で、一番人気は『彩果の宝石』です。こちらは供給が追いつかないほどの人気商品で、デパートなど一部の店舗にしか卸していないんです」

埼玉県の物産全体でNo.1の人気を誇る「彩果の宝石」。厳選された素材で作ったフルーツゼリー。(写真は「そぴあ」で撮影)

「ださいたま」はもう古い! 埼玉の魅力を猛プッシュ

最後に、埼玉県の観光PRについてぜひ訊いてみたい質問をぶつけました。それは、“埼玉県のブランディング”! 県民性の話になると「地味」「東京の影に隠れている」と言われがちな埼玉県。そうしたイメージを観光の当事者としてどう捉えているのでしょうか?

持田さん「たしかに、かつては地味なイメージを利用していた時期もありました。でも今では外国人観光客が増えていることもあり、そうしたドメスティックなローカルイメージを打ち出す必要はないと考えています」

田丸さん「むしろ東京から近いエリアという利点を活用していますね。例えば情緒あふれる小江戸・川越から、自然が豊かな秩父へ向かうコースを『SAITAMAプラチナルート』としてアピールしています」

埼玉県公式観光サイト「ちょこたび埼玉」より「SAITAMAプラチナルート」

持田さん埼玉はアニメの舞台が多い地域でもありますから、アニメ担当チームを新設してPRに取り組んでいるんですよ」

Locomedian View

埼玉県とローソン、いわゆる“官民一体”プロジェクトと言える埼玉アンテナショップの舞台裏は、コンパクトで効率的な運営がなされていることがわかりました。実際にナチュラルローソン東京日本橋一丁目店を訪れてみると、東京都心のコンビニで突然埼玉の商品と出会うという体験は、ちょっとしたサプライズ感があります。

桑原さんいわく、ナチュラルローソンのアンテナショップは「ローソン目的のお客様と埼玉県の出会いの場」だそう。いわば不意打ちを受けることでインパクトが大きくなり、それがきっかけで埼玉県のことを知る。そうした顧客体験こそが、コンビニ提携のいちばんのシナジー効果と言えそうです。

この記事の著者

島田 喜樹(しまだ よしき)

Locomedian 編集・ライター/株式会社shiftkey プランナー・ディレクター/DJIスペシャリスト

埼玉県富士見市出身。高校まで地元だったけど勢いで札幌の大学に進学し、卒業後は埼玉にUターン。そのせいか会社の人からは盆や正月のたびに「札幌に帰るの?」と聞かれ、「地元は埼玉です」と訂正すること数えきれず。Shiftkeyのドローン担当。


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